2007年08月22日

読むのがちょっとしんどいけれど、米国株投資をしている人にオススメ「最近におけるアメリカ証券税制の動向」

財団法人 日本証券経済研究所
http://www.jsri.or.jp/

野村容康氏「最近におけるアメリカ証券税制の動向」
http://www.jsri.or.jp/web/publish/review/pdf/4708/02.pdf
ブッシュ政権の株式投資に対する減税策のもたらした結果の検証と、アメリカの年金制度の株式部分にまつわる税制の2006年度までの変更点、伝統的IRAとロスIRAの相違点、サンセット条項(期限切れがある)の撤廃やらと、いろいろな税制優遇措置が設けられていることがわかります。

サンセット条項の撤廃は、配当重視への流れを切るかもしれません。今までは長期的な配当政策でなく、期限があったために、特別配当で一時的に配当性向を高めただけであったという

アメリカではベビーブーマー世代の貯蓄率向上対策、とくに低所得層の貯蓄率を向上させて社会全体の負担を引き下げようという身も蓋もない状況分析があげられていたりもします。低所得者の貯蓄インセンティブをあげるにはどうすればいいか?

米国の状況を引いて、日本ではどうすればいいのかが、いわゆる配当の二重課税について絡めて語られています。一概に、「二重課税なんだから配当に対する課税は全部撤廃しろ!」と言えないと分かります。法人段階と個人段階での課税に歪みを作れば、べつの弊害を誘発しかねないとあります。上場したLLCの話題も出てきます。パススルー課税なども。

米国における2006年の年金保護法の改正が、1974年のエリサ法改正以来の抜本的な改革だというのが驚きでした。昨年時点から、米国で働き米国で納税し、投資信託含む株式に投資する投資家の長期的な最善の投資方法が変わっている可能性があります。ポートフォリオが、よりリスク資産に向かうのか、拠出額の積み増しで債券を組み込む余裕が出てくるのか。総額が増えても、実際の変化は少ないのか。

配当の減税やら、投資判断の変化は、チリも積もれば山となるためあなどれません。さらに、米国においては総合課税がベースにあるという点も再確認できます。

死亡時点まで資産を保有した場合については、取得原価を死亡時点のものにするという、いわゆるstep up in basisという制度があります。これによって、生前に発生したキャピタルゲインは、すべて所得税が非課税とされたということです。

日本人では分かりにくい特典があったというのも、あらためてビビりが入ります。これでは、チャールズ・エリスの言う「投資期間は遺産相続して子孫の代まで、というか、永遠」という話がネタでなくて、本当のことだったと分かります。

いずれにせよ、米国株式市場は国際分散投資をする上では無視することは出来ず、かならず組み込む必要があるわけです。その、米国株式市場に多く流れる年金資金の1つの潮流を理解する助けになると思います。
posted by ことばもないひと at 22:31 | 日記