2010年03月05日

The Defenceless Dead

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ARMのギルを読みました。ラリー・ニーヴンの作品で、臓器移植がテーマの一つになっています。あと、冷凍睡眠。

ミステリ&SF感想vol.106
「不完全な死体」 The Defenseless Dead
 街中で突然狙撃されたギル・ハミルトン。相手は引退したオーガンレッガー“アヌビス”の手下だった。かつて “アヌビス”に身代金目当てで誘拐された青年がその場に居合わせたことから、“アヌビス”が再び活動を始め、その青年を狙っているという疑惑が生じる。しかし、身代金を払ってほとんど財産を失った青年が、今また狙われる理由は一体……?
 臓器移植とオーガンレッガーというテーマが前面に出た作品。展開はなかなか面白いのですが、真相は見えやすいかもしれません。シリーズにあまりなじみのない読者ならば特に。

で、まあ、冷凍睡眠に入った人たちがたくさんいるという設定ですが、その条件下で、世界には移植用の臓器が不足しているとなるわけです。

すると、誰かが気がつくわけです。あ、臓器なら冷凍されてますやん!

冷凍睡眠に入った人が、もう、臓器扱いされていると。いやいや、それはまずいんちゃいますのん? という提示がもちろんなされますが、作中では、さくっと選別が行われます。

「金を持っていない、先見の明なく信託基金などを設定していない人間は、冷凍睡眠から覚めても国家の世話になるだけであるからして、もう、臓器とっちゃえ」

といって、作中では、すかんぴんから臓器を取る法案が成立してしまって、臓器の供給が行われます。オーガンレッガーこと違法臓器密売人たちは需要と供給が崩れて引退するハメになります。1976年発表の話ですが、すでに来るところまで来ていたのです。

で、投資がらみでぞっとするネタがあるのです。

信託基金を設定していた人間でも、信託がうまくいかなかった、投資していた株式などが紙くずになった。そういう人間は、法案成立後に臓器になっちゃったという。

作品が書かれた当時のファンドで生き残っているものなんてのはごく少数なので、思考実験としても、たいていは臓器になってしまったわけです。

VFINX: Profile for VANGUARD INDEX TRUST 500 INDEX - Yahoo! Finance
Fund Inception Date: 31-Aug-76

1976年の当時だったら、アメリカでもS&P500インデックスファンドの一般売りがかろうじてあるかないかという世界ですので、ラリイ・ニーヴンもおそろしいネタを展開したものです。日本だと、ほぼ全滅です。おんどれらは臓器なのです。

VWELX: Profile for VANGUARD WELLINGTON INCOME FUND - Yahoo! Finance
Fund Inception Date: 01-Jul-29

VWINX: Profile for VANGUARD WELLESLEY INCOME FUND - Yahoo! Finance
Fund Inception Date: 01-Jul-70

まあ、運良く、VWELXかオバマ大統領も所有しているというVWINXに金を再投資で入れておけば、作中でも生き残ることができています。しかも、再投資を仕込んで冷凍睡眠だと投資ホライズンは100年以上で、目が覚めたら、超お金持ちになる予定なんです。

ところが、臓器も足りませんが、お金も足りないのが世の常です。となると、さあ、今度は、信託基金を仕込んで生き残って? いる冷凍睡眠の不完全な死体たちがどうなるか。それらが生きているのではなく、単なる死体になれば、子孫には遺産ががっぽりということになります。それが物語の肝になってくるわけなのです。

不完全な死体 (創元推理文庫 (668‐4))
なお、結末は読んでのおかえりでございます。
posted by ことばもないひと at 22:44 | 日記